食べるということ。
日本雑穀協会認定 雑穀クリエイター田中雅子です。
ステイホーム週間のGWが終わりました。みなさま、いかがお過ごしでしたか?
わたしは、一年前のGWを思い出していました。
去年のGWの直前に夫が転んで頭を強打の大怪我。
その時、お医者さんに
「奥さん、本当によかったですね。2,3㎜ずれていたら、言語障害、半身不随…命だって。本当によかったねぇ。後遺症が残らないといいね。」
と何度も言われて涙を流したことを思い出します。
あわせて夫のお母さまも倒れて入院。
GW中は毎日、病院通いでした。
夫は幸いにも1ヶ月後には戻りましたが、嗅覚障害、味覚障害という後遺症が残りました。
何を食べても味がしない状態。
美味しいとも不味いとも分からず、
料理の香りもしない食事は、なんて味気なかったことでしょう。
料理を作っても「おいしい。」という言葉が聞くことができなくなりました。
本人が一番つらかったでしょう。
お医者さんからは治るかもしれないが治らないかもしれない、治療はありませんと。
夫が自宅に戻ってからの食事は、
味やにおいを感じなくても“食べること”を楽しめるように、
“食材の食感や色”を楽しんでもらえるように調理しました。
野菜の切り方、食材の火の通し方にも工夫をしました。
コーヒーもいつもの豆を変えたり、煎り方も変えたりして、様子を伺ってました。
移る季節の旬の野菜や果物はもちろんですが、
なかでも雑穀が活躍してくれたことは言うまでもありません。
そして、味を想像してもらえるように出汁は何でとったか、
調味料は何を使ったかを説明しました。
“食べること”は毎日のこと。
その時間をなんとか楽しんでもらえるようにこの一年、日常の食卓を作りました。
そんな中、
ここ数日、夫から「おいしい」という言葉を何回か聞くことができました。
本人曰く、味覚が70%くらいは戻ってきたみたいだと。
”食べるということ“は栄養を摂るだけのものではなく、
やはり楽しむものであってほしい、と心から思うようになりました。
今年のGWも太陽のもと、遊びに行くことはできませんでしたが、
毎日のように家族で食卓を囲むことができて本当に幸せでした。
大げさな言い方かもしれませんが、
”生きる”ということは素晴らしいことです。
ここ数ヶ月、医療関係者の方をはじめ、
私たちの日常生活を支えてくれる仕事に就いていらっしゃる多くの皆様に心から感謝します。
ありがとうございます。
そして、わたしたちが家で日常でいられること、
食べることを考えられること、
これが幸せなんだなぁ、と思う日々です。